写楽・閉じた国の幻
ここ数日ですが、島田荘司の小説「写楽 閉じた国の幻」という文庫本、上下2巻を読んでおりますが凄い本ですね。
島田荘司と言えば本格推理小説が浮かぶ作家ですが、今回の本はそうではないです。
彼が20年来温めてきた構想だそうです。
ストーリーも、史実に沿って展開しておりますが、謎の絵師・写楽の江戸時代、寛政6年~7年の10ヵ月の間で、100枚以上もの浮世絵を残して忽然と姿を消した説明が、今ままでの専門家の考えを凌駕しているのですね。
最後近くの章で、江戸時代の歌舞伎、夜興業のシーンが出てくるのですが、それが豪華絢爛で夢のような描写なのです。文章が映像を超えている最適な事例と言えます。
それと、登場人物の主役:蔦屋重三郎(つたやじゅうざぶろう)の想いがセリフとなり、この小説の真髄を表現しているのですね。
江戸の粋、いや、伝統芸能の行く末を考えるとき、もし蔦屋重三郎が現代にいてくれたら、彼ならなんとするでしょうか?
本日のブログでした。