<シスコで、語ろう。>高橋 三千綱

あれは、ちょうど昭和50年でしたか、村上龍が「限りなく透明に近いブルー」で文壇にデビューした頃、時を同じくして、その前後ですが、芥川賞を受賞したのが、高橋三千綱でした。

受賞作は、高校生の剣道部での活躍を描いた三部作で、一番目が「五月の傾斜」というタイトルでした。
非常に、すがすがしい作品でしたが、彼の以前の本ですが、(シスコで語ろう)という、おそらく自費出版した本が、古本屋のバーゲンセールで、新古本としてワゴンに山積にされていたのを私は覚えております。

おそらく皆様でも、ご存知ないかと思いますが、いかかでしょうか。

その本ですが、内容は高校を出た18歳の高橋氏が、単身渡米して、サンフランシスコで大学に通うという話でした。
文章も拙い、まだ作家としてデビューする以前でしたが、当時のサンフランシスコの様子、60年代のアメリカの大学生活の有様、ヒッピーの台頭など、今にして思えば懐かしい描写が沢山、出ておりました。

その時期では、景山民夫とか、村上春樹とかが、同じくアメリカ文化の影響を受けていて、文学を目指して行く時代だったのですね。村上龍しかり。

そして、本日の落ちですが、今から14年程前、パソコンテイーチャーという会社を立ち上げた私に一本の電話が入りました。
産経新聞の広告を見たという方からでした。

パソコンの家庭教師を探しているそうです。
当時、作家で産経新聞の広告覧を見て電話してくる人はこの人位でしょう。
それが、高橋三千綱氏でした。